市川武史
1971年、愛知県生まれ、東京都在住 
11月1日(月)~6日(土)藍画廊

 これまでの私の作品には、浮遊するもの、ヘリ ウム・ガスを注入したバルーン状のものがたくさんあります。立体作品の存在やその生成、自分はなぜ作るのか、といった根源的な諸問題を突き詰 めていった結果、自分としては「彫刻」という言葉でくくっているんですが、「浮かぶ彫刻」に行き着いたんです。実際に作品を存在させたのちに体験したこととしては、作品との対峙が処理しきれない情報を残したということがありました。ただ、一元的なインパクト至上主義に陥りがちな現在の現代美術の状況のなかで、そこにはむしろ何らかの現実的な可能性があるのではないかと思っています。
 コラボレーションによるプロジェクトを展開したときは、美術の制度の外側に向かうベクトルに従い遠心的な広がりを求めて、個を取り払うことを強く意識していたんですが、その反動もあり、もう一度美術の制度の内側を求心的に考え直さなくては、と感じさせられました。そういうこともあって、一九九八年に大学院を出たのち、一年間で六回もの個展を間いたんです。 そうしたなか、ぎりぎりまで切り詰めてそれでも成立するようなものを、決定打的に打ち出したいと考えて作ったのが、今年の三月の個展で発表した単体の作品でした。それが今回の出品作にもつながっていま す。今回は、真っ白な強い光を放つ空間にそれを浮遊させてみました。
一九九九年一一月二日の公開講座より

Return 戻る